青切符と赤切符の違い|反則金で終わるか刑事手続かの分かれ目を弁護士が解説

交通違反で警察官から渡される紙は、指導警告・青切符・赤切符の3種類のいずれかです。青切符と赤切符の分かれ目は、この先が反則金を納めて終わる道か、刑事手続へ進む道か、という点にあります。青切符なら、反則金を通告の翌日から10日以内に納めれば起訴されず、前科もつきません。赤切符は刑事手続のための書類で、罰金などの刑罰、つまり前科につながることがあります。この記事は、渡された紙がどちらで、次に何が起きるかを、順に説明します。

第1 渡されたこの紙は何なのか

渡された紙が3種類のどれなのかは、紙そのものから見分けられます。3種類のうち、指導警告はその場での注意にとどまり、切符の交付はありません。切符として交付されるのは、青切符と赤切符です。

交通違反で渡される紙が指導警告・青切符・赤切符の3種類に分かれ、青切符は反則金の納付で手続が終わり、赤切符は刑事手続に進むことを示す分岐図

青切符と赤切符は俗称で、渡された紙の上部には正式名称が印刷されています。青切符の正式名称は「交通反則告知書」といい、反則行為の事実の要旨などを記載して違反者に交付されます。赤切符は、これとは性格が異なります。

正式には「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」といい、交通関係事件について特例的に使用される、簡易な形式の捜査書類をいいます。
(警察庁「自転車ルールブック」)

この共用書式は、青切符のように反則金の納付で完結する紙ではありません。刑事手続を進めるために使われる捜査書類です。前科の心配が出てくるのは、赤切符のほうです。

もう一つ、混同しやすい区別があります。交通違反への責任には、刑罰につながる系列と、運転免許の点数や停止という系列の、2つがあります。青切符・赤切符・反則金は、前者の刑罰につながる系列に属します。

刑事処分は罰金などの刑罰、行政処分は免許の停止や取消しです。反則金は、納めなければ罰金へ進むため、刑事系の概念にあたります。

この記事が扱うのは、切符と反則金という刑事系の話です。免許の点数や停止という行政処分は、別の記事で扱います。

第2 青切符の反則金を払えば、それで終わるのか

青切符の反則金を期限内に納めれば、その違反について起訴されず、前科もつきません。納めなければ、刑事手続に移ります。第1で触れた「反則金で終わる道」の入口が、この青切符です。

この、反則金を納めれば起訴されない仕組みを、交通反則通告制度といいます。

前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。
(道路交通法128条2項)

「公訴を提起されず」とは、検察官が起訴せず、刑事裁判にかけられないという意味です。起訴されなければ有罪判決もなく、前科もつきません。ここまでが「反則金を払えば終わる」の中身です。

納付には期限があります。青切符(告知)を受けた日の翌日から起算して、7日以内なら反則金に相当する額を仮に納めることができます(道路交通法129条1項)。その後、警察本部長から反則金の納付を求める通告が届き、通告を受けた日の翌日から起算して10日以内に納めます(同法127条・128条1項)。

青切符を切られた後、告知の翌日から7日以内の仮納付または通告の翌日から10日以内の反則金納付で刑事手続に移らず終わり、納めなければ刑事手続に進む流れを示す時系列図

仮納付をしておけば、後で届く通告による正式な納付をしたものとみなされます(同法129条3項)。7日以内に仮納付をしなくても、通告後の10日以内に納めれば同じ結果です。どちらの期限で納めても、刑事手続には進みません。

問題は、納めなかった場合です。警察庁の解説では、期限までに納付しないときは刑事手続に移行するとされています(警察庁「自転車ルールブック」)。条文の上でも、反則者は通告を受けて納付期間が過ぎるまでは起訴されません(道路交通法130条)。裏を返せば、期間が過ぎても納めなければ、通常どおり起訴され得る形です。

反則金は、あくまで任意に納めるものです。実務の逐条解説(『執務資料 道路交通法解説』)でも、通告に不服があり一定期間納めない者は、刑事手続に移って正規の裁判で争うことになると整理されています。納めるか納めないかで、その先の道が分かれます。

ただし、納めなかったからといって必ず有罪になるわけではありません。刑事手続に移った後、起訴するかどうかは検察官が判断し、最終的な処分はその判断にゆだねられます。

第3 赤切符だと前科がつくのか

赤切符は、刑事手続を進めるための捜査書類です。その先で罰金や拘禁刑を科されれば前科となる点が、青切符との根本的な違いです。第2でたどった反則金の道とは反対に、赤切符は事件を刑事手続へ送ります。

赤切符が「共用書式」「迅速処理」のための書類と呼ばれるのは、交通事件を簡易な形で捜査・処理するために使われるからです。青切符のように反則金を納めて終える道はなく、渡された時点で刑事事件として扱われます。

赤切符を切られただけで前科がつくわけではありません。刑事手続を経て、罰金や拘禁刑といった刑罰が科されたときに、前科の問題が生じます。前科の意味やその後の影響は、前科がつくとどうなるかで説明しています。

赤切符による刑事手続で起訴されると、略式手続がとられることもあります。流れは検察官から呼び出しが来たらで説明しています。

青切符(交通反則告知書)と赤切符(共用書式)を、正式名称・処理の系統・前科の有無・自転車での扱いの観点で並べて比較する対比表

青切符と赤切符は、正式名称、反則金で終わるか刑事手続かという系統、前科がつき得るかという点で異なります。青切符は反則金で完結して前科がつきません。赤切符は刑事手続に進み、有罪となれば前科がつき得ます。では、どのようなときに刑事手続になるのか、次に説明します。

第4 どんなときに青切符ではなく刑事手続になるのか

青切符ではなく刑事手続になるのは、大きく四つの場合です。重大な違反、事故、身元を明かさないこと、そして違反を争うことです。これが、青と赤を振り分ける分かれ目です。

【刑事手続で処理される主な場合】

  • ① 酒酔い運転・酒気帯び運転・妨害運転・携帯電話使用等(交通の危険)などの重大な違反をしたとき
  • ② 反則行為が原因で交通事故を起こしたとき(道路交通法125条2項3号)
  • ③ その場で住所・氏名を明かさないとき、または逃げたとき(同法126条1項1号・2号)
  • ④ 違反の成立を争うとき

①の重大な違反は、青切符では処理されません。その理由は、違反の種類で分かれます。酒酔い運転と酒気帯び運転をした人は、道路交通法が「反則者」から除いています(同法125条2項2号)。妨害運転や携帯電話使用等(交通の危険)は、そもそも「反則行為」にあたりません(同法125条1項)。

たとえば酒酔い運転は、自転車も含めて5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金と定められています(道路交通法117条の2第1項)。酒気帯び運転は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です(同法117条の2の2第1項)。

酒気帯びの基準は、政令が定めています。血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム、または呼気1リットルにつき0.15ミリグラムです(道路交通法施行令44条の3)。

飲酒運転は、状態によって不可罰・酒気帯び・酒酔いに分かれます。この三つの違いは、飲酒運転の3類型で説明しています。

妨害運転も、原則として3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金とされています(警察庁「自転車ルールブック」)。

携帯電話の使用は、二段階に分かれます。手に持って通話や画面注視をしただけの場合(携帯電話使用等〔保持〕)は、反則行為として青切符の対象です。

それによって実際に交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です(道路交通法117条の4第1項第2号)。この場合は、刑事手続になります

②の事故は、反則行為が原因で交通事故を起こした場合が刑事手続で処理されます(道路交通法125条2項3号)。ここでいう「よって交通事故を起こした」の意味は、執務資料の解説が示しています。反則行為と事故との間に相当因果関係がある場合を指す、という整理です(『執務資料 道路交通法解説』)。

③の身元を明かさない場合や逃げた場合は、警察官が青切符の告知そのものをせず、はじめから刑事手続に進みます(道路交通法126条1項)。④の争う場合は、第2で述べたとおり、反則金が任意の納付であることと関係します。違反の成立自体を争うなら、反則金を納めずに、刑事手続の中で判断を求めることになります。

どの場合も、刑事手続に進んだ後にどのような処分になるかは、検察官や裁判所の判断によります。青切符が切られず刑事手続になったこと自体は、有罪や前科が確定したことを意味しません。

第5 自転車でも切符を切られるのか

2026年4月1日から、自転車にも青切符が導入されました。16歳以上の反則行為は反則金で処理され、酒気帯び運転などの重大な違反は、従来どおり刑事手続になります。第1で示した青と赤の分かれ道は、自転車でも同じです。

これまで自転車の交通違反には、反則金の仕組みがありませんでした。2026年4月1日に施行された改正で、自転車(軽車両)の運転者がした反則行為も、青切符による反則金の対象になりました(道路交通法125条1項)。

自転車の青切符の対象は、16歳以上の運転者です(道路交通法125条2項4号)。16歳未満の違反については、原則として指導警告が行われます(警察庁「自転車ルールブック」)。

反則金の額は、違反の種別ごとに政令で定められています。警察庁の解説では、自転車の反則金は3,000円から1万2,000円ほどの幅とされています(警察庁「自転車ルールブック」)。

たとえば信号無視は6,000円、一時停止違反は5,000円です。携帯電話を手に持って使う場合(携帯電話使用等〔保持〕)は1万2,000円で、自転車の反則金の中では高い部類にあたります。

一方、自転車の酒気帯び運転などの重大な違反は、反則金では済みません。第4で述べたとおり刑事手続で処理され、酒気帯び運転には3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が定められています(道路交通法117条の2の2第1項第3号)。

この規定は「自転車以外の軽車両を除く」と定めて、自転車を対象に含めています。携帯電話の使用を禁じる規定も、条文が「自動車、原動機付自転車又は自転車」と明記しています(同法71条第5号の5)。

自転車でも、青切符なら反則金の納付で手続が終わり、赤切符なら刑事手続に進みます。渡された紙がどちらなのかを確かめることが、次の一手を決める出発点になります。

第6 よくある質問

1 自転車の違反で、自動車の運転免許の点数や免許停止はどうなりますか

運転免許を持つ人が自転車で違反をしても、運転免許の点数は付きません(警察庁「自転車ルールブック」)。ただし、自動車などの運転が道路における交通の危険を著しく生じさせるおそれがあると認められる場合には、6か月以内の免許停止が行われることがあります。

実際に、令和6年11月には、自転車の酒気帯び運転で検挙された男性3人が、6か月以内の免許停止処分を受けています。点数制度や行政処分の詳しい流れは、別の記事で扱います。

2 16歳以上でも、20歳未満の場合はどうなりますか

16歳以上であれば、反則金の対象になります。ただし、20歳未満の人が検挙された場合には、少年法に基づく手続が行われます(警察庁「自転車ルールブック」)。家庭裁判所が審判を開始したときは、期限を定めて反則金の納付を指示することがあります(道路交通法130条の2)。

3 「指導警告」を受けただけの場合、前科はつきますか

指導警告は検挙ではなく、反則金の納付も刑罰もありません。警察庁の解説では、自転車の違反を認知した場合、基本的に現場で指導警告を行うとされています。危険性や迷惑性が高い悪質・危険な違反のときに、検挙されます(警察庁「自転車ルールブック」)。

青切符や赤切符は検挙された後の処理であり、指導警告にとどまれば、前科の問題は生じません。

第7 本記事の前提と更新

本記事は2026年7月時点の法令・運用に基づきます。判例・法改正に応じて随時更新します。

参考文献

  • 警察庁交通局『自転車を安全・安心に利用するために―自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入―【自転車ルールブック】』(令和7年9月)
  • 道路交通執務研究会編『執務資料 道路交通法解説』20訂版(東京法令出版・2025年)
  • 条文は本文中に条番号で示した(道路交通法・道路交通法施行令)。
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この記事を書いた人

レナトス法律事務所 代表弁護士/埼玉県弁護士会所属(登録番号 第64945号)
刑事事件と交通事故被害者の民事を中心に、ご相談者おひとりおひとりに丁寧に向き合うことを大切にしています。前職のアトム法律事務所を経て、2026年4月に独立・レナトス法律事務所を開設しました。
取扱分野:刑事弁護/交通犯罪/薬物事件/性犯罪/暴行・傷害/交通事故被害者の民事/犯罪被害者支援(拡大予定)

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