会社員にとって、逮捕されることは刑事手続きの不安だけにとどまりません。「会社にバレるのではないか」「解雇や懲戒処分を受けるのではないか」という仕事に関する不安も、非常に大きなものです。
ご自身やご家族が逮捕され、仕事への影響を心配されている方も多いのではないでしょうか。
ただし、逮捕されたからといって、必ず会社に知られるわけではありません。また、逮捕だけを理由に解雇されるとも限りません。 適切に対応することで、仕事への影響を最小限にできる可能性があります。
この記事では、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- 逮捕が会社にバレるケースとバレないケース
- 懲戒処分の種類と判断基準(判例をもとに解説)
- 身柄拘束中の勤怠や、執行猶予・実刑の場合の影響
- 逮捕中の会社への対応方法と復職に向けたポイント
会社員が逮捕されたら会社にバレる?
会社員が逮捕されたとき、まず気になるのは「会社に知られてしまうのか」ということでしょう。結論からいうと、逮捕の事実が会社に必ず通知される制度はありません。ただし、事件の内容や状況によっては会社に連絡が行くケースもあり、実務上はさまざまなパターンで発覚することがあります。
逮捕が会社に通知されることはない
警察や検察から勤務先に対して「従業員を逮捕しました」と通知する一般的な制度はありません。また、逮捕された本人やご家族が会社に報告する法的義務も、原則としてありません。
ただし、通勤途中や勤務先の近隣での犯行など、事件の状況によっては警察から会社に連絡が行くこともあります。とはいえ、すべてのケースで会社に通知されるわけではなく、事件の内容次第という面が大きいです。
実務上、会社にバレる主なパターン
制度として通知はされないものの、以下のような事情から会社に知られてしまうケースがあります。
- 長期間の無断欠勤: 逮捕から勾留まで、最大23日間にわたり身柄を拘束される可能性があります。数日間の無断欠勤が続けば、会社が不審に思うのは自然なことです
- 報道: 実名報道がされた場合、インターネットやニュースを通じて会社関係者に知られる可能性があります。事件が重大であるほど、また社会的地位が高いほど、実名報道がなされる傾向があります
- 警察からの照会: まれに、警察から会社に対して在籍確認などの照会が行われるケースがあります。これにより逮捕の事実が会社に伝わることもあります
- 被害者・目撃者が同僚: 被害者や事件の目撃者が会社の関係者であれば、当然知られることになります
- 身元引受人への連絡: 釈放の際に身元引受人として会社の上司に連絡が行く場合があります
逮捕後の流れや身柄拘束の期間について詳しくは、「逮捕後の流れ」「勾留とは」の記事もご参照ください。
報道リスクについて
逮捕された場合に実名報道されるかどうかは、明確な基準があるわけではありません。ただし、一般的には事件の重大性、社会的関心の高さ、被疑者の社会的地位などが影響するとされています。
会社名が報道されるかどうかについても、ケースバイケースです。官庁・病院・大学など公的機関や公共的な役割を果たす法人では会社名が報道されやすい傾向がありますが、私企業における私生活上の犯罪で会社名が出るケースはそれほど多くありません。
弁護士を通じた情報収集が重要
逮捕された場合、弁護士を通じて正確な情報を収集することが非常に大切です。逮捕直後は弁護士(弁護人)しか本人と面会(接見)できないため、会社への対応を検討するうえでも、弁護士からの情報が頼りになります。
弁護士は、本人との接見を通じて、どのような容疑で逮捕されたのか、今後の見通しはどうかといった情報を整理し、会社への対応方針を一緒に考えることができます。
早期釈放が「バレない」ための鍵
逮捕後、48時間〜72時間以内に釈放されれば、「体調不良で休んでいた」という説明で対応できる可能性が高くなります。
そのため、弁護士による早期の身柄解放活動(勾留阻止や保釈請求など)が非常に重要です。身柄拘束の期間が短いほど、会社に知られるリスクは低くなります。
逮捕されたら解雇される?懲戒処分の法的ルール
「逮捕されたら会社をクビになるのではないか」――これは多くの会社員が抱える不安です。しかし、「逮捕=即解雇」ではありません。 法律上、解雇や懲戒処分には厳格なルールがあります。
「逮捕=解雇」ではない
逮捕とは、犯罪の嫌疑がある段階で身柄を拘束する手続きにすぎません。有罪が確定したわけではなく、不起訴となる可能性もあります。
労働契約法16条は、次のように定めています。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労働契約法16条)
つまり、「逮捕された」という事実だけでは、解雇の合理的な理由としては認められにくいのです。特に、まだ有罪が確定していない段階での解雇は、法的に争える余地が大きいといえます。
私生活上の行為に対する懲戒処分の原則
会社員が私生活(職場外・就業時間外)で犯罪をした場合、原則として懲戒処分の対象にはなりません。これは、労働者の私生活は最大限尊重されるべきであり、本来、使用者は介入できないという考え方に基づきます。
ただし、例外として、私生活上の行為であっても「企業の社会的評価の低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められるもの」については、懲戒処分の対象となり得ます。
なお、懲戒処分についても解雇と同様に法的な制限があります。労働契約法15条は、次のように定めています。
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。(労働契約法15条)
つまり、懲戒処分が有効であるためには、客観的に合理的な理由と社会的相当性の両方が必要です。
この判断枠組みを示したのが、次に紹介する国鉄中国支社事件の最高裁判例です。
判例の判断枠組み ― 国鉄中国支社事件
国鉄中国支社事件(最一小判昭和49年2月28日)は、私生活上の行為に対する懲戒処分の可否について、最高裁が判断基準を示した重要な判例です。
最高裁は、従業員の職場外でなされた職務遂行に関係のない行為であっても、次のいずれかに該当する場合は懲戒処分の対象にできるとしました。
- 企業秩序に直接の関連を有するもの
- 企業の社会的評価の低下毀損につながるおそれがあると客観的に認められるもの
そして、2の判断にあたっては、以下の要素を総合的に考慮するとしています。
| 考慮要素 | 内容 |
|---|---|
| ① 行為の性質・態様 | どのような犯罪か、その重大性・悪質性 |
| ② 会社の事業の種類・態様・規模 | 業種や事業内容との関連性 |
| ③ 会社の経済界に占める地位・経営方針 | 公共性の高さや社会的影響力 |
| ④ 労働者の会社における地位・職種 | 管理職かどうか、顧客接点の有無 |
| ⑤ 行為の動機・影響・社会的評価 | 報道の有無、被害の程度 |
| ⑥ その他の諸般の事情 | 反省の態度、示談の成否など |
つまり、同じ犯罪でも、会社の業種や本人の職種によって、懲戒処分が認められるかどうかは変わります。例えば、運送会社のドライバーが飲酒運転をした場合と、事務職員が飲酒運転をした場合では、会社の社会的評価への影響が異なるため、処分の妥当性も異なりうるのです。
懲戒処分の種類と段階
懲戒処分は「懲戒解雇」だけではありません。一般的に、以下のような種類があり、軽いものから重いものまで段階的に定められています。
| 処分の種類 | 内容 |
|---|---|
| 戒告(かいこく)・譴責(けんせき) | 口頭または書面での注意・警告。始末書の提出を求められることもある |
| 減給 | 一定期間、給与の一部を減額する処分 |
| 出勤停止 | 一定期間の出勤を禁止する処分。その間は無給となることが多い |
| 降格 | 役職や等級を引き下げる処分 |
| 諭旨解雇(ゆしかいこ) | 退職を勧告し、一定期間内に退職届を提出させる処分 |
| 懲戒解雇 | 最も重い処分。即時解雇で、退職金が不支給・減額されることもある |
どの処分が相当かは、行為の内容や会社への影響の程度に応じて判断されます。軽微な犯罪であれば戒告や減給にとどまるケースもあり、必ずしも懲戒解雇になるわけではありません。
懲戒解雇が認められやすいケース・認められにくいケース
具体的には、以下のような傾向があります。
懲戒解雇が認められやすいケース:
- 業務上の犯罪(横領、業務上の詐欺など)
- 犯罪行為が会社の名誉や信用を著しく傷つけた場合(実名報道がなされた場合など)
- 有罪判決が確定し、拘禁刑(きんこけい)の実刑となった場合
- 会社の業種や本人の職種と犯罪の関連性が高い場合(例: 運送会社のドライバーの飲酒運転)
- 同種の前科・前歴や懲戒処分歴がある場合
懲戒解雇が認められにくいケース:
- 業務とは無関係の軽微な犯罪(罰金刑にとどまる場合など)
- 不起訴処分となった場合
- 逮捕のみで、有罪判決が確定していない段階
- 報道がなされておらず、会社の社会的評価が現実に毀損されていない場合
- 指導的立場になく、会社が大企業で社会的影響が限定的な場合
もちろん、就業規則の内容や事案の具体的な事情によって判断は異なります。「自分のケースではどうなるのか」が気になる場合は、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
犯罪類型ごとの懲戒処分の傾向
犯罪の種類によっても、懲戒処分の傾向は異なります。代表的な類型について簡単に整理します。
| 犯罪類型 | 傾向 |
|---|---|
| 飲酒運転 | 運送業・タクシー会社等では懲戒解雇が有効とされやすい。一般企業では、酒気帯びの程度や人身事故の有無などにより判断が分かれる |
| 痴漢・性犯罪 | 鉄道会社など業種との関連性が高い場合は厳しい処分が認められやすい。行為態様や示談の成否、報道の有無が考慮される |
| 暴行・傷害 | 被害の程度や刑事処分の結果によって判断が分かれる。軽微な場合は戒告・減給にとどまることも |
| 横領・詐欺(業務上) | 会社の信頼を直接裏切る行為として、懲戒解雇が認められやすい傾向 |
懲戒処分のタイミング
懲戒処分がいつ行われるかも重要なポイントです。
- 本人が犯罪事実を認めている場合: 逮捕・勾留の段階で懲戒処分が行われることがあります
- 本人が否認している場合: 裁判の判決が出るまで処分を保留するのが一般的です
- 認否が不明な場合: 少なくとも認否が明らかになるまで慎重に対応されるケースが多いです
なお、同じ行為に対して二度の懲戒処分を科すことはできません(一事不再理の原則)。例えば、逮捕段階で軽い処分を科した後、有罪判決が出たからといって改めて重い処分を科すことは認められないため、処分のタイミングは慎重に判断される必要があります。
参考判例 ― 炭研精工事件
逮捕されただけでは解雇が認められないことを示す裁判例として、炭研精工事件(最一小判平成3年9月19日)があります。
この事件では、従業員が逮捕・勾留され、その間の欠勤を理由に懲戒解雇されました。しかし、最終的に不起訴処分となったことなどを踏まえ、最高裁は懲戒解雇を無効と判断しました。
この判例は、不起訴となった場合に逮捕・勾留による欠勤を理由とする懲戒解雇が認められにくいことの重要な裏付けとなっています。
ただし、すべてのケースに同じ判断が当てはまるわけではありません。個別の事情によって結論は変わりますので、ご自身の状況に不安がある場合は早めに弁護士へご相談ください。
身柄拘束中の勤怠はどうなる?
逮捕・勾留により身柄を拘束されると、当然ながら会社に出勤することができません。この間の勤怠がどう扱われるかも、会社員にとって大きな関心事です。
基本は「欠勤扱い」
身柄拘束中は出勤できないため、原則として欠勤扱いになります。多くの会社では、この期間は無給の欠勤として処理されます。
有給休暇は使えるか?
年次有給休暇(年休)は、原則として事前に申請する必要があるため、逮捕後に家族が事後的に有給休暇を申請しても、会社がこれを認める義務はありません。
ただし、会社が任意で事後的な有給休暇の取得を認めることは可能です。実務上、家族が会社に連絡して「体調不良で休む」と伝え、有給休暇として処理されるケースもあります。
なお、有給休暇の利用目的を会社に申告する義務はなく、仮に「体調不良」と伝えて有給休暇を取得していた場合でも、後から逮捕の事実が判明したことを理由に有給休暇の取得を取り消すことは、原則としてできないとされています。
起訴休職制度がある会社も
一部の企業では、起訴された場合に休職を命じることができる「起訴休職制度」を就業規則に定めていることがあります。この制度が適用されると、裁判が続く間は休職扱いとなります。ご自身の会社の就業規則を確認しておくとよいでしょう。
執行猶予の場合・実刑の場合
裁判で有罪判決が出た場合、執行猶予が付くか、実刑になるかによって、仕事への影響は大きく異なります。
執行猶予付き判決の場合
執行猶予(しっこうゆうよ)とは、有罪判決を受けても、一定期間その刑の執行を猶予する制度です。執行猶予期間中に問題を起こさなければ、刑の言い渡しは効力を失います。
執行猶予中であることは、法律上、就労の制限とはなりません。 そのため、会社として復職を認めることは可能です。
ただし、執行猶予付きでも有罪判決であることに変わりはないため、会社の信用への影響や職場秩序の維持の観点から、懲戒処分(戒告・減給・降格など)が行われる可能性はあります。少なくとも、懲戒処分の内容が決まるまでは復職させないという対応を取る会社も多いようです。
実刑判決の場合
実刑判決(執行猶予の付かない拘禁刑)を受けた場合、刑務所に収容されるため、長期間にわたり労務の提供ができなくなります。
この場合、会社としては懲戒解雇や普通解雇により雇用を終了させることが一般的です。実刑が予想される場合は、判決前に必要なやり取り(退職手続きなど)を済ませておくことが重要です。
示談で不起訴になった場合の懲戒処分
「示談が成立して不起訴になれば、懲戒処分は受けずに済むのか」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
結論として、示談で不起訴になったとしても、懲戒処分が行われる可能性はあります。刑事手続きにおける処分(起訴・不起訴)と、会社の懲戒処分はまったく別の制度だからです。
ただし、懲戒処分の「重さ」を決める際には、不起訴という結果は有利な事情として考慮されます。報道もなく、被害者との示談も成立し、不起訴で終了した場合には、会社の社会的評価が現実に毀損される可能性は低く、懲戒解雇のような重い処分は認められにくい傾向にあります。
弁護士に依頼して示談を成立させ、不起訴処分を得ることは、刑事処分の面だけでなく、会社での懲戒処分を軽くするうえでも重要な意味を持ちます。
退職金の不支給について
懲戒解雇された場合、退職金が不支給・減額されることがあります。多くの企業は、就業規則(退職金規程)に「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」旨の条項を設けています。
ただし、退職金には賃金の後払いとしての性格もあるため、裁判例では、退職金の全額不支給が認められるのは「それまでの勤続の功労を抹消してしまうほどの背信行為があった場合」に限られるとされています。
特に、私生活上の犯罪行為を理由とする場合は、退職金の全額不支給は認められにくい傾向にあります。懲戒解雇が有効であっても、退職金の全額不支給までは認められないケースもありうるのです。
退職金の問題は金額も大きく、生活への影響も重大です。懲戒解雇や退職金の不支給に納得がいかない場合は、弁護士にご相談ください。
逮捕されたときの会社への対応方法
実際に逮捕されたとき、会社にどう対応すればよいのか。具体的な場面ごとに整理します。
逮捕直後 ― 家族を通じた欠勤連絡
逮捕されると、本人は自由に電話をかけることができません。そのため、会社への連絡はご家族に依頼するのが一般的です。
この段階では、逮捕の事実を会社に伝える法的義務はなく、「体調不良で休みます」と伝えてしのぐケースが実務上は少なくありません。本来望ましい対応とはいえませんが、逮捕直後の混乱の中ではやむをえない面もあります。
なお、弁護士に依頼すれば、弁護士を通じてご家族に連絡を取り、欠勤連絡の段取りを整えることも可能です。ご家族が逮捕された場合の対応については、「家族が逮捕されたら」の記事もご参照ください。
釈放後 ― 会社に何を伝えるか
釈放後、会社に復帰する際の対応は状況によって異なります。
- 不起訴の場合: 基本的に会社への報告義務はありません。体調不良で通していた場合、そのまま復帰できるケースもあります
- 起訴された場合: 在宅起訴(身柄を拘束されない状態で裁判を受けること)であれば、通常どおり勤務を続けられます。会社に伝えるかどうかは、弁護士と相談して慎重に判断しましょう
- 就業規則の確認: 会社によっては「逮捕された場合は報告する」と就業規則に定めていることがあります。ご自身の会社の規則を確認しておくことも大切です
不起訴処分について詳しくは、「不起訴処分とは?不起訴を獲得するためのポイント」で解説しています。
弁護士に依頼するメリット ― 会社との交渉サポート
刑事事件で弁護士に依頼するメリットは、刑事手続きの対応だけではありません。会社への対応についてもアドバイスやサポートを受けられるのが大きなポイントです。
具体的には、以下のようなサポートが可能です。
- 早期釈放に向けた活動: 勾留に対する準抗告や保釈請求により、身柄拘束の期間を短縮し、欠勤日数を減らす
- 示談交渉の早期着手: 示談が成立すれば不起訴処分となる可能性が高まり、懲戒処分の軽減にもつながる
- 会社との交渉に関する助言: 会社に何をどこまで伝えるか、懲戒手続きへの対応方法など、労働法の観点からもアドバイスが可能
刑事手続きと会社への対応を同時に進められることは、弁護士に依頼する大きな利点といえます。
逮捕後の仕事への影響を最小限にするためにできること
逮捕された場合でも、適切に対応すれば仕事への影響を抑えられる可能性があります。ここでは、そのための具体的なアクションを整理します。
早期釈放を目指す
身柄拘束の期間が短いほど、会社への影響は小さくなります。
刑事訴訟法上、逮捕後は最長72時間以内に勾留の判断がされます(刑訴法203条〜205条)。勾留が決定すると、さらに最大20日間の身柄拘束が続く可能性があります(刑訴法208条)。
弁護士に早期に依頼することで、勾留の阻止や保釈請求などを通じ、身柄拘束の期間をできる限り短くする活動を行えます。欠勤が短ければ、会社に知られずに済む可能性も高まります。
不起訴処分を目指す
不起訴処分となれば、前科がつきません。懲戒処分のリスクも大幅に下がります。
被害者がいる事件の場合、示談を成立させることが不起訴処分を得るための重要なポイントです。弁護士が被害者との間に入り、適切な形で示談交渉を進めます。
弁護士に早期に相談する
逮捕されたら、できるだけ早く弁護士に相談することが何よりも大切です。
早い段階で弁護士が介入することで、刑事手続きへの対応と会社への対応を同時に、かつ計画的に進めることができます。時間が経つほど選択肢が狭まることもあるため、「まず相談する」ことが重要な一歩です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 逮捕されたことは会社に自動的に通知されますか?
A: 通知されません。警察や検察から勤務先に連絡が行く制度はなく、逮捕の事実を会社に報告する法的義務もありません。ただし、長期の欠勤や報道、警察からの照会などにより知られる可能性はあります。
Q2: 逮捕されたら必ず解雇されますか?
A: 逮捕だけを理由に即解雇されるとは限りません。労働契約法16条により、客観的に合理的な理由のない解雇は無効です。特に私生活上の犯罪については、会社の社会的評価への影響が限定的であれば、懲戒解雇は認められにくい傾向があります。
Q3: 逮捕中の欠勤はどう説明すればよいですか?
A: 逮捕の事実を会社に伝える法的義務はありません。ご家族を通じて「体調不良」と伝えるケースが一般的です。具体的な対応は状況により異なりますので、弁護士に相談し、最善の方法を一緒に考えましょう。
Q4: 不起訴になっても解雇される可能性はありますか?
A: 不起訴の場合、解雇が認められる可能性は低くなります。炭研精工事件(最一小判平成3年9月19日)でも、不起訴となった逮捕・勾留による欠勤を理由とする懲戒解雇は無効とされました。ただし、就業規則の内容や事案の性質により個別の判断が必要です。
Q5: 懲戒処分にはどのような種類がありますか?
A: 一般的に、軽い方から戒告・譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇という段階があります。逮捕されたからといって必ず懲戒解雇になるわけではなく、行為の内容や会社への影響に応じて、適切な処分が選ばれます。
Q6: 示談で不起訴になれば懲戒処分を受けずに済みますか?
A: 示談で不起訴になっても、懲戒処分を受ける可能性はあります。刑事処分と会社の懲戒処分は別の制度だからです。ただし、不起訴になったことや示談が成立したことは、懲戒処分の重さを決める際に有利な事情として考慮されます。報道もなく不起訴で終了した場合、懲戒解雇のような重い処分は認められにくい傾向にあります。
Q7: 逮捕された場合、転職活動に影響はありますか?
A: 不起訴で前科がつかなければ、履歴書の賞罰欄に記載する義務はありません。有罪判決が確定した場合でも、すべての職種で就職が制限されるわけではありません。個別の状況に応じたアドバイスが可能ですので、弁護士にご相談ください。
まとめ
- 逮捕の事実は会社に自動通知されない ― 警察・検察から勤務先への連絡制度はなく、報告義務もない
- 私生活上の行為に対する懲戒処分には厳格な要件がある ― 国鉄中国支社事件の最高裁判例が示す「企業の社会的評価の低下毀損」の判断枠組みにより、安易な処分は認められない
- 懲戒処分は段階的であり、懲戒解雇だけではない ― 戒告・減給・出勤停止など、行為の内容に応じた処分がある
- 示談・不起訴は懲戒処分の軽減にもつながる ― 刑事事件の結果は、懲戒処分の重さを判断する重要な考慮要素
- 早期釈放・不起訴処分を目指すことが重要 ― 身柄拘束の期間を短くし、前科を回避することで、仕事への影響を最小限にできる
- 弁護士への早期相談が鍵 ― 刑事手続きと会社への対応を同時に進められる
逮捕されたことで「仕事を失うかもしれない」と不安に感じる気持ちは当然のことです。しかし、適切に対応することで、影響を抑えられる可能性は十分にあります。
レナトス法律事務所では、刑事事件に注力する弁護士が、刑事手続きの対応だけでなく、会社への対応や復職に向けたサポートも行っております。逮捕による仕事への影響でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
免責事項
この記事は2026年4月7日時点の法令に基づき、一般的な法律知識の提供を目的としたものです。個別の事案についての法的アドバイスではありません。具体的なお悩みについては、弁護士にご相談ください。
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