家族が逮捕された直後の72時間は、本人と外部を繋ぐ唯一の手段が弁護人接見である極めて重要な時間帯です(刑事訴訟法39条)。本記事では、家族の逮捕を知ってから取るべき行動を、初動の警察への連絡・弁護人の選任・差入れ・職場対応・勾留阻止に向けた動きまで、時系列に沿って整理し、刑事事件に注力する弁護士が解説します。
ご家族が逮捕されたという知らせを受けて、大きな不安の中でこの記事にたどり着かれたのだと思います。
突然のことで動揺されるのは当然のことです。「何をすればいいかわからない」「このまま出てこられないのではないか」「仕事や生活はどうなるのか」――そうした不安は、ご家族として自然な感情です。
まず、お伝えしたいことがあります。逮捕されても、適切に対応すれば、早期に釈放されるケースもあります。 そして、ご家族の行動が、その結果を左右することがあります。
この記事では、家族が逮捕された直後にやるべきことを、優先順位に沿って具体的にお伝えします。
- 最初の72時間でやるべき4つのステップ
- 弁護士を呼ぶ具体的な方法
- 面会(接見)の方法と差し入れ
- 職場や学校にバレないための対応
お急ぎの方へ:ご家族が逮捕されて、今すぐ弁護士に相談したい方は、お電話またはWeb予約でお問い合わせください。レナトス法律事務所では、刑事事件に注力する弁護士がご家族の不安に寄り添います。
家族が逮捕されたら「最初の72時間」でやるべきこと
家族が逮捕された直後は、早めの対応が重要です。逮捕から最大72時間で、勾留(こうりゅう=長期の身体拘束)されるかどうかが決まります。以下の4つのステップを、できるだけ早く進めてください。
ステップ1:弁護士に連絡する(最優先)
家族が逮捕されたと知ったら、まず弁護士に連絡することが最も重要です。
原則として弁護士だけが、逮捕直後から制限なく本人と面会(接見)できます。弁護士は本人から直接事情を聞き、取調べへの対応方法をアドバイスし、早期釈放に向けた活動を開始します。
なお、逮捕された本人が当番弁護士を呼んだ場合でも、その弁護士が必ずしもご家族の連絡先を把握しているとは限りません。ご家族の側からも弁護士に連絡を取ることで、状況をいち早く把握できるようになります。
弁護士を呼ぶ具体的な方法は、次のセクションで詳しく説明します。
ステップ2:逮捕された警察署を確認する
弁護士に連絡する際に必要な情報として、逮捕された方がどこの警察署にいるかを確認してください。
確認方法は以下のとおりです。
- 警察から連絡があった場合:電話の内容をメモする(警察署名・担当者名・事件の概要)
- 本人から連絡があった場合:警察署名と留置番号を聞く
- わからない場合:逮捕された場所の最寄りの警察署に電話して確認する
なお、警察からの連絡では「詳しいことはお伝えできませんが、安全なところにいます」といった言い方をされることもあります。詳細がわからなくても、まずは弁護士に連絡し、弁護士を通じて状況を確認してもらいましょう。
この情報があれば、弁護士がすぐに接見に向かうことができます。
ステップ3:面会(接見)の準備をする
弁護士の手配と並行して、面会の準備を進めましょう。
ただし、逮捕直後は原則としてご家族による面会はできません。ご家族が面会できるようになるのは、通常、勾留が決定した後(逮捕から約2〜3日後)です。
一方、弁護士であれば逮捕直後から面会が可能です。弁護士に依頼すれば、本人の状態や希望をすぐに確認してもらえます。
ステップ4:職場・学校への対応を考える
逮捕された方が会社員や学生の場合、数日間の欠勤・欠席が避けられません。
- この段階では、逮捕の事実を職場に伝える必要はありません
- 体調不良など、当面の理由で欠勤の連絡を入れるケースが一般的です
- 長期化する場合の対応は、弁護士と相談のうえで決めましょう
ただし、職場への対応は慎重に判断する必要があります。弁護士と相談しながら、最善の方法を一緒に考えていきましょう。
ご家族からよく寄せられるご質問
逮捕の知らせを受けたご家族から、特に多く寄せられるのは以下のようなご質問です。
- 「いつ本人に会えるのか」
- 「何を差し入れたらいいのか」
- 「いつ出られるのか」
- 「本当に犯罪行為をしたのか」
「いつ出られるのか」「本当にやったのか」という点については、弁護士が本人と面会して直接事情を聞かなければ、正確なことはわかりません。だからこそ、できるだけ早く弁護士に接見に行ってもらうことが大切です。
ご家族の側から弁護士に依頼して接見に行ってもらえば、本人の状況や今後の見通しについて、より早く情報を得ることができます。
弁護士の呼び方3つの方法
家族が逮捕された場合に弁護士を呼ぶ方法は、主に3つあります。
当番弁護士を呼ぶ(無料・すぐに接見可能)
当番弁護士(とうばんべんごし) は、逮捕された方のもとに弁護士が1回無料で面会に来てくれる制度です。
呼び方:
- 各地の弁護士会に電話する
- 埼玉弁護士会:048-863-5255(受付時間は要確認)
- 逮捕された本人が警察官に「当番弁護士を呼んでほしい」と伝える
当番弁護士は通常、依頼の当日〜翌日に接見に来てくれます。まずは本人の状況を確認してもらうために、すぐに連絡してください。
ただし、当番弁護士は1回限りの制度です。継続的なサポートが必要な場合は、その弁護士に私選弁護人として依頼するか、別の弁護士を探す必要があります。
知り合いの弁護士や法律事務所に連絡する
知人に弁護士がいる場合や、信頼できる法律事務所を知っている場合は、直接連絡しましょう。
その際に伝えるべき情報は以下のとおりです。
- 逮捕された方の氏名・年齢
- 逮捕された日時
- 逮捕された警察署名
- わかる範囲での事件の概要
注意点:弁護士にはそれぞれ得意分野があります。刑事事件を日常的に扱っていない弁護士の場合、対応が難しいこともあります。刑事事件の経験がある弁護士かどうかを確認することをおすすめします。
弁護士検索サイトで刑事事件に経験のある弁護士を探す
知り合いに弁護士がいない場合は、弁護士検索サイトやインターネットで探す方法もあります。
弁護士を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
- 刑事事件の取扱実績があるか
- すぐに接見に行ってくれるか(スピードが重要)
- 費用について事前に説明してくれるか
- 今後の見通しを率直に話してくれるか
弁護士選びのアドバイス
弁護士を選ぶ際は、できれば複数の法律事務所に相談することをおすすめします。弁護士選びで大切なのは、(1)人柄(信頼できるか)、(2)案内の内容(見通しや方針の説明が丁寧か)、(3)弁護士費用(納得できる金額か)の3つです。1つの事務所にしか相談しないと、費用感を比較できません。
レナトス法律事務所では、刑事事件に注力する弁護士がご相談を承っております。ご家族が逮捕されてお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
逮捕された家族に面会する方法
家族が逮捕されると、「いつ会えるのか」が最も気になるところだと思います。面会の方法を詳しく説明します。
弁護士による接見(時間制限なし・立会いなし)
弁護士は、逮捕直後から本人に面会できます。これを接見(せっけん)と呼びます。
弁護士の接見には以下の特徴があります。
- 時間制限なし(一般面会は15分程度に制限)
- 警察官の立会いなし(一般面会は立会いあり)
- 回数制限なし
- 逮捕直後から可能(一般面会は勾留決定後から)
弁護士に依頼すれば、ご家族のメッセージや差し入れを本人に届けてもらうこともできます。
一般面会(家族による面会)の条件と制限
ご家族が直接面会できるようになるのは、原則として勾留が決定した後(逮捕から通常2〜3日目以降)です。
一般面会の条件は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 勾留決定後(逮捕から約2〜3日後) |
| 回数 | 1日1回(※被疑者1人につき1日1組まで) |
| 時間 | 約15〜20分 |
| 立会い | 警察官が同席 |
| 受付時間 | 平日の日中(午前と午後の2部制が一般的) |
注意点:面会の回数は被疑者(逮捕された本人)を基準に1日1回です。たとえば、午前中に職場の同僚が面会すると、その日はご家族が面会できなくなります。事前に留置場の担当に確認してから面会に行くことをおすすめします。
面会の予約や受付時間の確認は、留置されている警察署に電話して「留置管理課をお願いします」と伝えれば対応してもらえます。
注意:共犯者がいる事件や証拠隠滅のおそれがある場合、接見禁止(せっけんきんし)がつくことがあります。この場合、弁護士以外との面会が禁止されます。接見禁止がついた場合でも、弁護士を通じて本人との連絡は可能です。
勾留中の差し入れで喜ばれるもの
面会の際や、面会とは別に、留置場にいる本人に差し入れをすることができます。
特に喜ばれる差し入れ:
- 現金(留置場内での日用品購入に使えるため、最も実用的です)
- 書籍・雑誌(3冊程度まで差し入れ可能な場合が多いです)
その他、差し入れできるもの(一般的な例):
- 衣類(下着、靴下など)
- 手紙・写真
- めがね(視力が必要な方)
差し入れできないもの:
- 携帯電話・電子機器
- 食べ物・飲み物(多くの留置場で制限あり)
- ひも・ベルトなど危険物
- 現金以外の貴重品
差し入れのルールは警察署によって異なります。事前に留置管理課に電話して確認するのが確実です。
家族が逮捕された後の流れと今後の見通し
逮捕された後、どのような流れで事件が進むのか、見通しを説明します。
逮捕〜勾留(最大23日間の身体拘束)
逮捕後の流れは以下のとおりです。
- 逮捕〜送致(最大48時間):警察での取調べ
- 送致〜勾留決定(最大24時間):検察官の判断
- 勾留(原則10日+延長最大10日):本格的な捜査
合計すると、逮捕手続きと合わせて最大23日間の身体拘束を受ける可能性があります。ただし、すべての事件で23日間拘束されるわけではありません。弁護士の活動により、勾留されずに釈放されるケースもあります。
起訴 or 不起訴の判断
勾留期間中に、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。
- 不起訴になれば:釈放され、前科はつきません
- 起訴されれば:刑事裁判を受けることになります
不起訴を獲得するために効果的なのは、被害者との示談を成立させることです。弁護士は示談交渉を代理で行い、不起訴の可能性を高めます。
不起訴になれば前科はつかない
「逮捕=前科」と思われがちですが、これは誤解です。前科がつくのは、起訴されて有罪判決を受けた場合のみです。
不起訴処分を獲得できれば、前科は一切つきません。逮捕の記録(前歴)は残りますが、日常生活への影響は限定的です。
起訴された場合の保釈について
正式起訴(公判請求)された場合は、保釈(ほしゃく) を申請することで、裁判の間は自宅に戻れる可能性があります。
保釈が認められるには、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことなどの要件を満たす必要があります。要件が認められた場合、保釈金(保釈保証金)を納付することで身柄が解放されます。
保釈金の金額は事件の内容によりますが、150万〜400万円程度が一般的です。たとえば、不同意性交等罪のような重い事件では400万円以上になることもあります。保釈金は、保釈の条件に違反しなければ、裁判終了後に返還されます。
家族の逮捕が仕事・学校・近所にバレないために
ご家族が心配されることの一つに、「逮捕が周囲にバレないか」という問題があります。
職場への連絡は必要?
逮捕の事実を職場に報告する法的な義務はありません。
ただし、数日間の欠勤が続くと、職場から問い合わせが来る可能性があります。弁護士と相談のうえ、以下のような対応が考えられます。
- 短期間(数日)の見込みなら「体調不良」で対応
- 長期化が見込まれる場合は、弁護士と相談して対応方針を決める
早期釈放を実現することが、職場への影響を最小限にする最も効果的な方法です。
実名報道される基準は?
逮捕が実名で報道されるかどうかは、事件の社会的な注目度によります。
報道の流れとしては、逮捕した管轄の警察署の広報担当が各報道機関に情報提供を行い、報道機関が関心を持った場合に報道されるのが一般的です。
以下のような場合は、報道されやすいとされています。
- 公務員や有名人の逮捕
- 重大事件(殺人、強盗など)
- 社会的に注目を集める事件
一方、軽微な犯罪や初犯の場合は、報道されないことが多いです。
報道リスクがある場合は、弁護士から警察署に対して報道機関への情報提供(プレスリリース)を控えるよう求める意見書を提出することも可能です。ただし、これにより必ず報道を防げるわけではない点はご了承ください。
SNSやネットへの拡散対策
万が一、逮捕が報道された場合でも、弁護士を通じて報道機関への対応を行うことが可能です。また、ネット上の記事削除については、事件終了後に対応を検討できます。
よくある質問(FAQ)
Q1: 逮捕された家族にいつ会えますか?
A: 弁護士であれば逮捕直後から面会できます。ご家族が直接面会できるのは、勾留が決定した後(逮捕から約2〜3日後)からです。1日1回・約15〜20分・警察官の立会いありという制限があります。接見禁止がついた場合は、弁護士を通じてのみ連絡が可能です。
Q2: 弁護士費用はどのくらいかかりますか?
A: 事件の内容や弁護活動の範囲によって異なりますが、事件の種類や難易度にもよりますが、着手金・成功報酬を合わせた総額で100万〜110万円程度が一つの目安です。当番弁護士(1回無料)や国選弁護人(費用は国が負担)という選択肢もあります。まずはご相談の中で費用についてもご説明いたします。
Q3: 示談をすれば釈放されますか?
A: 被害者との示談が成立すると、不起訴処分となり釈放される可能性が高まります。ただし、示談だけで必ず釈放されるわけではなく、事件の内容や被害の程度によります。弁護士が示談交渉と並行して釈放に向けた活動を行います。
Q4: 家族が「やっていない」と言っています。冤罪の場合はどうすればいいですか?
A: 本人が犯罪の事実を否認している場合は、弁護士なしで取調べを受けさせないことが重要です。弁護士は、黙秘権の行使方法や供述方針について的確なアドバイスを行い、不当な供述調書が作成されることを防ぎます。冤罪が疑われる場合こそ、早期に弁護士を依頼してください。
Q5: 夫/妻が逮捕されました。離婚は考えるべきですか?
A: 逮捕直後に離婚を決断する必要はありません。まずは事件の見通しを弁護士に確認し、全体像が見えてから今後のことを考えても遅くありません。刑事事件の結果によっては、ご家族の生活への影響が最小限で済むケースも多くあります。焦らず、一つずつ対応していきましょう。
まとめ ― 一人で抱え込まず、まずはご相談ください
家族が逮捕されたときにやるべきことをまとめます。
- 最優先は弁護士への連絡。弁護士だけが逮捕直後から本人と面会できる
- 当番弁護士(1回無料)を呼ぶか、刑事事件に経験のある弁護士を直接探す
- 逮捕=前科ではない。不起訴を獲得できれば前科はつかない
- 職場への報告義務はない。弁護士と相談して対応を決める
- ご家族の面会は勾留決定後(約2〜3日後)から可能。それまでは弁護士を通じて連絡を
突然の逮捕に直面して、不安で眠れない夜を過ごされているかもしれません。 しかし、一人で抱え込む必要はありません。弁護士に相談することで、今後の見通しが見え、具体的な行動がとれるようになります。
レナトス法律事務所では、刑事事件に注力する弁護士が、ご家族の不安に寄り添いながら、ご本人の早期釈放と最善の結果を目指してサポートいたします。
止まってしまった時間を、一緒に前に進めていきましょう。
この記事は2026年3月時点の法令に基づき、一般的な法律知識の提供を目的としたものです。個別の事案についての法的アドバイスではありません。具体的なお悩みについては、弁護士にご相談ください。
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