突然の逮捕は、ご本人にとってもご家族にとっても、大きな不安と混乱をもたらします。「これからどうなるのか」「いつ出られるのか」「仕事はどうなるのか」――次々と不安が押し寄せてくるのは当然のことです。
しかし、逮捕されたからといって、すべてが終わりというわけではありません。適切な対応を取ることで、早期の釈放や不起訴処分を目指すことができます。
この記事では、逮捕されたらどうなるのかについて、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- 逮捕後の流れを時系列で整理
- 逮捕直後にやるべきこと・やってはいけないこと
- 弁護士を呼ぶ方法と費用の目安
- 早期釈放や不起訴を目指すためのポイント
お急ぎの方へ:今まさに逮捕の不安を抱えている方は、弁護士への早期相談が最も重要です。
レナトス法律事務所では、刑事事件に関するご相談を承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。
相談を予約する逮捕されたらどうなる?逮捕後の全体像
逮捕されたらどうなるのか、まずは全体像を把握しましょう。逮捕後の流れは、大きく分けて「逮捕・勾留」「捜査」「起訴・不起訴の判断」「裁判(起訴された場合)」の段階に分かれます。
逮捕後に最も重要なのは、捜査機関に何か話す前に、弁護士のアドバイスを受けることです。
逮捕直後には「弁解録取(べんかいろくしゅ)」という手続きがあり、警察官から逮捕の理由について弁解を聞かれます。この場面で、事実と異なる供述をしてしまったり、捜査機関が想定している「事件の筋書き」をそのまま認めてしまったり、関係のない余罪について話してしまうケースがあります。
一度こうした供述をしてしまうと、後から訂正することは非常に困難です。弁護士と話す前に、捜査機関に対して安易に供述しないこと――これが、逮捕後の対応で最も大切な心構えです。
逮捕には3つの種類がある
逮捕には、以下の3つの種類があります。
| 種類 | 内容 | 令状の要否 |
|---|---|---|
| 通常逮捕 | 裁判官が発付した逮捕状に基づく逮捕。後日逮捕とも呼ばれます | 必要 |
| 現行犯逮捕 | 犯罪を行っている最中、または直後に逮捕されるケース | 不要 |
| 緊急逮捕 | 重大犯罪で急速を要する場合に、令状なしで先に逮捕し、直ちに令状を請求 | 事後に必要 |
日常生活で最も多いのは、万引きや暴行などでの現行犯逮捕と、盗撮や詐欺などの捜査が進んだ後の通常逮捕(後日逮捕)です。
逮捕されたら「最大72時間」身体を拘束される
逮捕されると、まず最大72時間(3日間)の身体拘束を受けます。この72時間の内訳は以下のとおりです。
- 警察での身柄拘束:逮捕から最大48時間
- 検察官への送致後:さらに最大24時間
この72時間の間に、検察官が「勾留(こうりゅう)」を請求するかどうかを判断します。検察官が勾留を請求し、裁判官が勾留決定を出すと(刑事訴訟法207条1項)、さらに長期の身柄拘束が続くことになります。なお、勾留期間の起算日は「勾留決定日」ですので、注意が必要です。
法律上は最大72時間とされていますが、実際にはフルに使われるとは限りません。たとえば埼玉県の場合、日中に逮捕されれば翌日に検察官へ送致されるのが通常です。夕方以降の逮捕であれば、2日後の午前中に送致されることが多いです。
72時間を待たず早期に釈放されるケースとしては、過失運転致傷で被害者の怪我が大きいものの、身元引受人がしっかり確保できている事案などが挙げられます。
逮捕後の流れを時系列で解説
逮捕後の流れを、段階ごとに見ていきましょう。
①逮捕直後〜48時間以内:警察での取調べ
逮捕されるとまず、警察署の留置場(りゅうちじょう)に収容されます。留置場とは、警察署内にある一時的な収容施設のことです。
この段階で行われることは、主に以下のとおりです。
- 弁解録取:逮捕の理由について弁解する機会が与えられます
- 取調べ:警察官から事件について質問を受けます
- 身体検査・所持品の預かり:携帯電話や財布などは預けることになります
ここが重要です。取調べでは、あなたには黙秘権(もくひけん)があります。話したくないことは話さなくてよい権利です。弁護士に相談する前に、焦って話す必要はありません。
②48時間〜72時間:検察官への送致と勾留請求
警察は、逮捕から48時間以内に事件を検察官に送ります。これを送致(そうち)、俗に「送検(そうけん)」と呼びます。
検察官は送致を受けてから24時間以内に、以下のいずれかを判断します。
- 勾留請求する → 裁判官に勾留を認めてもらい、さらに捜査を続ける
- 釈放する → 在宅のまま捜査を続ける、または処分を決定する
この段階で弁護士がついていると、検察官に対して「勾留の必要性がないこと」を意見書で伝えるなど、釈放に向けた働きかけができます。
③勾留決定〜最大20日間:本格的な捜査
裁判官が勾留を認めると、原則10日間の身柄拘束が始まります。さらに捜査の必要がある場合は最大10日間の延長が認められ、合計で最大20日間勾留されることがあります。
逮捕からの身柄拘束期間をまとめると、以下のようになります。
| 段階 | 期間 | 累計 |
|---|---|---|
| 逮捕〜送致 | 最大48時間 | 2日 |
| 送致〜勾留決定 | 最大24時間 | 3日 |
| 勾留(原則) | 10日間 | 13日 |
| 勾留延長 | 最大10日間 | 最大23日間 |
つまり、逮捕から起訴・不起訴の判断がなされるまで、逮捕手続きと合わせて最大で23日間の身柄拘束を受ける可能性があります。
実務上、勾留が10日間で終了するケースは多くありません。12〜13日間(逮捕手続きを含む)で必要な捜査書類がすべて揃うことは稀であり、勾留延長が認められるのが通常です。10日間の勾留で釈放されやすいのは、軽微なDV事案などに限られます。
④起訴 or 不起訴の決定
勾留期間が満了するまでに、検察官は起訴(きそ)するか、不起訴(ふきそ)にするかを判断します。
- 起訴:刑事裁判にかけられる
- 不起訴:裁判にはならず、釈放される(前科はつかない)
日本の刑事事件では、約7割が不起訴になっています。令和5年のデータでは、起訴が23万8,145人に対し、不起訴は50万7,221人でした(出典:令和6年版 犯罪白書 2-1-1図)。不起訴を獲得するためには、被害者との示談(じだん)成立や、反省の態度を示すことが重要です。
不起訴の種類には以下の3つがあります。
- 起訴猶予:犯罪の事実はあるが、情状を考慮して起訴しない
- 嫌疑不十分:証拠が不十分で有罪の立証が難しい
- 嫌疑なし:犯罪の疑いがない
⑤起訴された場合:刑事裁判へ
起訴されると、刑事裁判を受けることになります。起訴には2つの種類があります。
- 正式起訴(公判請求):法廷で裁判が行われる。判決まで数ヶ月かかることもある
- 略式起訴:書面のみで審理され、罰金刑が科される。比較的軽い事件で用いられる
正式起訴された場合、起訴後に保釈(ほしゃく)を申請できます。保釈とは、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと認められた場合に、保釈保証金(保釈金)を納付することで、判決が出るまでの間、身柄を解放してもらう制度です。
なお、2023年の刑事訴訟法改正により、保釈中に制限住居を離れた場合には刑事罰(制限住居離脱罪・刑事訴訟法95条の3)が科されることになりました。保釈が認められた場合は、裁判所が定めた条件をしっかり守ることが求められます。
逮捕されたらまず弁護士に連絡すべき理由
逮捕された場合、できるだけ早く弁護士に連絡することが最も重要です。その理由を具体的に説明します。
不利な供述調書が作られるのを防ぐ
取調べでは、警察官が供述調書(きょうじゅつちょうしょ)を作成します。この調書は裁判で重要な証拠になります。
弁護士がいない状態で取調べを受けると、本人の意図と異なる内容が調書に記載されてしまうことがあります。たとえば「認めたほうが早く出られる」と言われて、やっていないことまで認めてしまうケースは少なくありません。
弁護士は、取調べ前に黙秘権の行使方法や供述方針についてアドバイスを行い、不利な調書が作られることを防ぎます。
早期釈放に向けた活動ができる
弁護士がつくと、以下のような早期釈放に向けた活動を行えます。
- 勾留請求に対する意見書の提出
- 勾留決定前に、裁判官に対して意見書の提出+裁判官と面談をする
- 勾留決定に対する準抗告(じゅんこうこく)(不服申立て)
- 身元引受人の確保と書面の作成
- 被害者との示談交渉の開始
これらの活動は、弁護士でなければ行うことが困難です。
被害者との示談交渉を進められる
多くの刑事事件では、被害者との示談(じだん)が成立するかどうかが、処分の結果に大きく影響します。
示談とは、被害者に対する損害賠償などの民事上の紛争を解決する手続きです。示談が成立した上で、被害者から「処罰を求めない」という意思(宥恕(ゆうじょ))を得られると、不起訴処分の獲得に大きく近づきます。
ただし、加害者本人が直接被害者に連絡を取ることは通常認められません。弁護士が間に入って交渉することで、示談がスムーズに進む可能性が高まります。
職場や家庭への影響を最小限にできる
逮捕されると、仕事や家庭にも大きな影響が及びます。
逮捕された事実が自動的に会社に通知されるわけではありませんが、数日間出勤できないことで事実上発覚してしまうケースは少なくありません。職場に知られた場合、「私生活上の非違行為」として懲戒処分の対象になる可能性もあります。
弁護士に相談することで、職場に知られるリスクを最小限に抑える方法や、万が一知られた場合の対応策についてアドバイスを受けることができます。
弁護士を呼ぶ方法と費用
逮捕された場合に弁護士を呼ぶ方法は、主に3つあります。
最も大切なのは、「どの制度を使うか」で迷って時間を失わないことです。当番弁護士でも国選弁護人でも、まずは弁護士がついている状態を作ることが最優先です。後から私選弁護人に切り替えた場合、国選弁護人は自動的に解任されますので、安心してください。
当番弁護士(無料・1回限り)
当番弁護士(とうばんべんごし)とは、逮捕された方のもとに、弁護士が1回無料で面会(接見)に来てくれる制度です。
利用方法は以下のとおりです。
- 逮捕された本人が警察官に「弁護士を呼んでほしい」と伝える
- または、ご家族が各地の弁護士会に電話する
埼玉弁護士会:048-863-5255
当番弁護士は、逮捕当日または翌日に接見に来てくれます。ただし、1回限りの制度のため、継続的なサポートが必要な場合は、国選弁護人の選任や私選弁護人への依頼を検討しましょう。
迷ったら、まずは当番弁護士を呼んでください。弁護士と面会してアドバイスを受けることが、何よりも大切です。
国選弁護人(条件あり・国が費用負担)
国選弁護人(こくせんべんごにん)は、経済的な理由で弁護士を雇えない方のために、国が費用を負担して弁護士を選任する制度です。
国選弁護人をつけるための主な条件は以下のとおりです。
- 被疑者段階(勾留中):勾留状が発せられた被疑者で、資力が50万円未満
- 被告人段階(起訴後):起訴された被告人で、弁護士がいない場合
国選弁護人の選任を希望する場合は、「国選弁護人をお願いします」と伝えるだけで手続きが進みます。「私選弁護人を探してから」と考えて時間を空けるよりも、まず国選弁護人の選任を申請して、弁護士がいる状態を作ることが大切です。
私選弁護人(自分で選べる・費用は自己負担)
私選弁護人(しせんべんごにん)は、ご自身やご家族が費用を負担して、自由に選んで依頼する弁護士です。
私選弁護人のメリットは以下のとおりです。
- 逮捕直後から依頼できる(勾留前でも対応可能)
- 刑事事件の経験が豊富な弁護士を自分で選べる
- 迅速かつ手厚いサポートが期待できる
費用は事件の種類によって異なりますが、着手金・成功報酬を合わせた総額で100万〜110万円程度が一般的な相場です。
逮捕されたときにやってはいけないこと
逮捕されたときの対応を誤ると、状況がさらに悪化する可能性があります。以下の点には特に注意が必要です。
パニックになって嘘の供述をする
取調べで「こう言えば早く出られるかもしれない」と考えて、事実と異なる供述をしてしまうケースがあります。
しかし、嘘の供述は後から大きな問題になります。一度作成された供述調書の内容を覆すことは非常に困難です。事実と異なることを話すくらいなら、黙秘権を行使して、弁護士が来るまで何も話さないという選択をすることが大切です。
取調べで「認めれば楽になる」に従う
取調べでは、捜査官から「認めれば早く出られる」「素直に認めたほうが処分が軽くなる」と言われることがあります。
しかし、これは必ずしも事実ではありません。特に身に覚えがない場合は、安易に認めてしまうと冤罪(えんざい)につながるおそれがあります。
実際の事件では、「認めなければ交際相手のところに警察が行く」「学校に連絡する」といった形で、供述を迫られるケースもあります。しかし、こうした言葉に動揺して認めてしまう必要はありません。弁護士に相談してから対応を決めることが重要です。
※ この事例はイメージです
よくある質問(FAQ)
逮捕されたことが自動的に会社に通知されることは、原則としてありません。ただし、数日間出勤できないことで事実上発覚するケースが多いです。また、通勤途中の事件や公務員の場合は、発覚する可能性が比較的高くなります。報道される可能性がある事件では、それを通じて会社に知られることもあります。弁護士に相談することで、職場への影響を最小限に抑えるための対応策を一緒に考えることができます。
いいえ、逮捕されただけでは前科はつきません。前科がつくのは、起訴されて有罪判決を受けた場合です。不起訴処分を獲得できれば前科はつきませんので、早期に弁護士と対策を立てることが大切です。
逮捕直後は、原則として家族との面会はできません。勾留が決定した後(逮捕から約3日後)から、一般面会が可能になります。ただし、面会は1日1回・約15分・警察官の立会いありなどの制限があります。
なお、逮捕段階でも、留置場の担当者の判断でご家族との面会が認められるケースもあります。面会が難しい場合でも、警察署に行って面会を希望する旨を伝えてみることをお勧めします。面会が叶わなくても、現金や着替えなどを差し入れることができれば、ご本人の助けになります。
弁護士であれば、逮捕直後から時間や立会いの制限なく面会(接見)できます。
逮捕されると、携帯電話は警察に預けることになります。事件の証拠として押収される場合もあり、その場合は捜査機関が「返しても差し支えない」と判断するまで返却されません。押収物の還付請求という手続きもありますが、捜査中は認められないことが多いのが実情です。返還までに数ヶ月かかることも珍しくありません。釈放後に、預けた所持品は返却されるのが一般的です。
事件の内容や対応によって大きく異なります。軽微な事件で早期に示談が成立した場合は、逮捕から数日で釈放されることもあります。一方、勾留が認められた場合は、逮捕手続きと合わせて最大23日間の身体拘束を受ける可能性があります。弁護士による早期の弁護活動が、釈放までの期間を短くする鍵となります。
まとめ
逮捕されたらどうなるかについて、この記事の要点をまとめます。
- 逮捕されると最大72時間の身体拘束を受け、勾留されるとさらに最大20日間延びる
- 逮捕後の流れは「逮捕→送致→勾留→起訴/不起訴」の順で進む
- 捜査機関に何か話す前に弁護士のアドバイスを受けることが最も大切
- 弁護士を呼ぶ方法は当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の3つ。迷ったらまず当番弁護士を
- 取調べでは黙秘権を行使し、弁護士と話してから対応を決めることが重要
逮捕は、人生の終わりではありません。適切な対応と弁護活動によって、不起訴や早期釈放を実現できるケースは数多くあります。
レナトス法律事務所では、刑事事件に注力する弁護士が、逮捕後の不安に寄り添いながら、最善の結果を目指してサポートいたします。ご本人はもちろん、ご家族からのご相談も承っております。
止まってしまった時間を、前に進めるお手伝いをさせてください。まずはお気軽にお問い合わせください。
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