痴漢事件の弁護士相談では、初動の事実関係の聞き取り・処分の見通し・示談方針・費用の見積りまでを一度に確認することが重要です。本記事では、痴漢事件で弁護士に相談する際の実際の流れ・所要時間・費用の目安・よく寄せられる質問への回答を、実際の相談シーンを再現する形で、刑事事件に注力する弁護士が解説します。
痴漢事件の弁護士相談を再現|実際の流れ・費用・よくある質問
はじめに
「夫が痴漢で逮捕された。弁護士に相談したいけれど、電話でいったい何を話せばいいのかわからない。費用もどれくらいかかるのか不安だ」——そんなお声を、当事務所では本当によく耳にします。
弁護士費用の見当がまったくつかないまま電話をするのは、誰でも緊張するものです。事案の内容や事務所によって費用は大きく変わりますから、先に相場感を知っておくことが、冷静な判断につながります。漠然とした費用不安から初動が遅れてしまうのは、刑事事件ではいちばん避けたい事態です。
この記事では、大宮で刑事弁護に注力している私が、痴漢事件のご家族から電話をいただいたときの「相談の中身」を、できる限り再現してお伝えします。想定しているのは、埼玉県内の電車内で不同意わいせつ(刑法176条)の疑いで逮捕された、30代の会社員男性・前科なしの方です。ご家族が翌朝に事務所へお電話をくださった、という設定で読み進めてください。
相談の流れ、費用の相場、よくあるご質問まで、実際にお話しする内容をそのまま記事にしました。弁護士選びの検討材料としてご活用ください。
1. 相談前に知っておいていただきたいこと
逮捕後72時間が勝負の時間帯
ご本人が警察署に連れて行かれてから、検察官が勾留請求をするかどうかを判断するまでの時間は、法律上最長72時間です。この72時間のうちに、弁護士が接見に入り、ご本人の意向を確認し、勾留を回避するための主張を整えられるかどうかで、その後の展開が大きく変わります。
「少し様子を見てから」「家族で話し合ってから」とお考えになるお気持ちはよくわかります。ただ、迷惑行為防止条例違反の事件でも、身柄を取られてしまうと最長で23日間(逮捕72時間+勾留10日+勾留延長10日)身柄が拘束されます。その間は会社にも行けません。初動の速さは、ご本人の生活を守るためにも非常に重要です。
相談はお電話でかまいません
「事務所まで行かないといけないのでは」とご心配される方が多いのですが、初回のご相談はお電話でまったく問題ありません。ご家族が遠方にいらっしゃる場合や、お子さまが小さくて外出しにくい場合でも、電話でひと通りの状況は把握できます。必要があればオンライン面談や来所面談に切り替えます。
準備していただきたい情報
お電話いただく前に、以下のメモをご用意いただけると話がスムーズです。
- 逮捕された場所(駅名・路線・おおよその時刻)
- 逮捕された日時
- 身柄が置かれている警察署の名前
- ご本人のお名前・生年月日・職業
- 警察から連絡があった場合はその内容
すべてわからなくても大丈夫です。わかる範囲で結構ですので、まずはお電話ください。
2. 実際の相談の流れ(会話形式で再現)
ここからは、ご家族から事務所にお電話をいただいてから、ご依頼の判断をいただくまでの流れを、会話形式で再現します。(以下、ご相談者を「家族」と表記します)
Step 1: 電話受付(弁護士が直接確認)
横山:お電話ありがとうございます、レナトス法律事務所の横山です。
家族:あの、昨日の夜、夫が痴漢で逮捕されたと警察から電話があって…どうしたらいいのかわからなくて。
横山:お電話いただきありがとうございます。ご心配のことと思います。まず状況を確認させてください。逮捕されたのはいつ、どちらの駅でのことでしたでしょうか。
家族:昨日の夜9時ごろ、大宮駅の近くで、JRの電車内だと聞いています。
横山:そうしますと、今、新都心駅にある大宮警察署に留置されていることになりますね。罪名について警察からご説明はありましたか。
家族:「不同意わいせつ」と言われました。
横山:承知しました。ご相談は1時間5,500円でお受けしています。このままお話を伺えますか。
最初の確認は「いつ・どこで・何罪で」の3点だけです。ご家族が動揺していても答えられる範囲に絞って、まず状況を把握します。
なお、急いで電話できない状況の方は、LINEまたはお問い合わせフォームからご連絡いただいても構いません。文字で状況を整理しながら送っていただけるので、かえってスムーズなケースもあります。
Step 2: 弁護士との相談(ヒアリング〜弁護活動の提案)
① ヒアリング — まず事実関係を把握する
横山:改めまして、少し詳しくお聞かせください。ご本人が何をしたと警察から説明されましたか。
家族:電車の中で、隣にいた女性の体を触ったという疑いだと聞きました。
横山:ご本人が事実を認めているかどうか、何かご存じですか。
家族:それがまだ本人と話せていなくて…。昨夜の電話では「弁護士を呼んでほしい」と言っていたそうです。
横山:わかりました。認めているか否認しているかによって、こちらの動き方がまったく変わります。接見に行って、本人の口から直接確認するのが先決です。前科や前歴はございますか。
家族:ありません。真面目に働いている人間で、こんなことは初めてです。
横山:ご職業は会社員でしょうか。
家族:はい、メーカーに勤めています。
横山:承知しました。ありがとうございます。
② 手続きの流れ — 今後どうなるか
横山:今後の流れをざっくりお伝えします。逮捕されてから48時間以内に検察官に引き渡され、そこから24時間以内、つまり合計72時間以内に「勾留するか・釈放するか」が決まります。
家族:72時間、つまり明後日あたりには決まるんですか。
横山:そうです。不同意わいせつは刑法上の犯罪で、条例違反よりも重い扱いになりますから、勾留が請求されるケースが多いです。勾留が認められると、勾留期間だけで最大20日間(逮捕からの合計では最長23日間)の身柄拘束が続く可能性があります。
③ 今後の見通し — このケースをどう読むか
家族:会社も心配で……20日間も休めないんですが。
横山:だからこそ、今すぐ動く必要があります。前科がない、職場がある、家族がいる。こうした事情は勾留の必要性がないことを示す材料になります。接見でご本人が事実を認めているとわかれば、そこから示談交渉に向けて動き、最終的に不起訴処分を目指すという方針が立てられます。不起訴になれば前科はつきません。
家族:不起訴になる可能性はありますか。
横山:保証はできませんが、初犯で事実を認めていて、被害者との示談が成立すれば、不起訴になる可能性は十分あります。痴漢事件の示談交渉の流れについても別の記事で詳しく解説しています。
④ 弁護活動の提案 — 弁護士として何をするか
家族:では先生は、具体的に何をしてくださるんですか。
横山:まず本日中に接見に行き、ご本人の意向を確認します。認める・否認するの方針を決めたうえで、勾留阻止の意見書を準備します。並行して、被害者への示談交渉の準備も進めます。進捗はご家族にも随時ご連絡します。不同意わいせつと迷惑行為防止条例違反では重さも手続も違いますので、このケースに合った動き方をご提案します。
家族:冤罪ということはないんでしょうか……本人の話を聞くまでわからなくて。
横山:もちろんです。接見で否認しているとわかれば、方針はまったく変わります。冤罪事件の対応についても別途解説していますので、ご参考ください。いずれにせよ、まず本人に会いに行くことが最優先です。
ヒアリングでは「事実関係」と「本人の意向」を把握することが目的です。ここが固まって初めて、手続きの見通しと弁護方針が具体的になります。
Step 3: 費用の説明(レナトスの料金を明示する)
ここからは、他の事務所で初回接見を済ませ、行為態様と認否が確認できているという前提で進みます。接見した弁護士から「実態は迷惑行為防止条例違反の可能性が高く、略式裁判・罰金30〜50万円程度の見通し」という説明を受けた状態です。
家族:先ほど相談した事務所では費用の説明がなくて……先生のところはどうなりますか。
横山:弁護士費用は自由化されており、事務所によって異なります。弊所の場合をご案内します。
まず着手金が38万5,000円です。これは結果にかかわらず、正式にご依頼いただいた時点でお支払いいただく費用です。
次に成功報酬。不起訴処分を獲得できた場合に44万円いただきます。
さらに加算報酬として、勾留を阻止して身柄を開放できた場合に11万円、被害者との示談が成立した場合に22万円が加わります。
日当は、接見など出張を伴う活動1回あたり2万2,000円です。
実費(交通費・記録のコピー代など)は実費精算です。
家族:合計するとどれくらいになりますか。
横山:示談が成立して不起訴になった場合のモデルケースでいえば、着手金38.5万+成功報酬44万+身柄開放11万+示談成立22万+日当・実費が目安です。事案によって日当と実費が変動しますので、詳細は面談時に見積もりをお出しします。弁護士費用の考え方も参考にしてください。
費用を曖昧にしたまま依頼を受けることは、後のトラブルのもとになります。弊所では、料金の内訳を項目ごとにお伝えしたうえで、正式にご依頼をいただく方針です。
Step 4: 依頼の判断(その場で即断しなくてよい)
家族:先生、お願いしたい気持ちはあるのですが、今日中に決めないといけませんか。
横山:正直に申し上げます。身柄事件は時間が命です。逮捕から72時間のうちに勾留阻止の動きをかけられるかどうかで、その後の23日間が変わります。ですから、本音を言えば、本日中にご判断いただけるとありがたいです。
ただし、当番弁護士や国選弁護人がすでに動いているなら、最低限の初動はカバーされています。その先生の対応に信頼を感じるなら、そのまま続けることも十分な選択肢です。複数の事務所を比較するなら、①費用の内訳が明確か、②案内の内容が具体的か、③人柄が合うか、この順で見てください。痴漢事件の弁護士を選ぶ基準もご参考にしてください。
ひとつ注意点があります。国選の先生が示談交渉を始めると、その後で弁護士を替えようとした場合にバッティングが起きます。交渉の途中で担当が変わると被害者側も混乱しますし、示談に使える時間も短くなります。比較するなら、示談着手の前が望ましいです。
家族:もし他を当たって、やっぱり先生にお願いしたいとなったら、連絡してもいいですか。
横山:もちろんです。その間も、まずご本人に「弁護士を頼んでいる最中だから、取調べでは慌てて供述しないで」とだけお伝えする方法もあります。当番弁護士制度を使えば、今日中に一度は弁護士が接見に入れます。
ご家族のお気持ちを急かしてご依頼をいただくことは、長い目で見て信頼関係を壊します。急ぐべきは動き出しで、即決ではありません。
3. 費用の内訳と相場(表形式)
認め事件・不同意わいせつ(刑法176条)・前科なし・身柄事件というモデルケースを前提に、費用の目安を整理します。
| 費用項目 | レナトスの料金 | 備考 |
|---|---|---|
| 相談料 | 5,500円/時間 | ご依頼時は着手金に充当 |
| 着手金 | 385,000円 | 正式依頼時に発生。結果にかかわらず返金なし |
| 成功報酬(不起訴) | 440,000円 | 不起訴処分確定時 |
| 加算報酬(身柄開放) | 110,000円 | 勾留阻止・早期釈放を実現した場合 |
| 加算報酬(示談成立) | 220,000円 | 被害者との示談が成立した場合 |
| 日当 | 22,000円/回 | 接見・出張を伴う活動1回あたり |
| 実費 | 実費精算 | 交通費・記録謄写費・通信費など |
示談が成立して不起訴となった場合のモデル総額:着手金38.5万+成功報酬44万+身柄開放11万+示談成立22万+日当・実費。事案の難易度や接見回数によって変動します。
4. よくあるご質問(FAQ)
Q1. 相談だけでも大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。ご相談料は1時間5,500円ですが、ご相談いただいたからといってご依頼が前提になるわけではありません。「まず話を聞いてほしい」「見通しだけ知りたい」というお問い合わせも歓迎しています。ご依頼に至った場合は相談料を着手金に充当します。
Q2. 費用の分割払いはできますか?
事案の性質とご事情を踏まえて、分割でのお支払いもご相談に応じます。たとえば着手金の一部を内金として先にいただき、残額を分割、という形も可能です。ご家族のご協力でまとまった金額をご用意いただけるケースもあれば、そうでないケースもあります。まずはご事情をお聞かせください。
Q3. 国選弁護人とどう違いますか?
国選弁護人は、勾留が決まった後(または起訴された後)に、国の費用負担で選任される弁護士です。勾留が決まるまでの72時間、つまり最も初動が重要な時間帯には、基本的に国選は動けません。この72時間に動けるのは私選弁護人だけです。
なお、弁護士費用特約(ご自身やご家族の自動車保険・火災保険などに付帯していることがあります)の刑事事件への適用可否は契約ごとに異なります。お手元の保険証券を確認のうえ、保険会社にご確認ください。
Q4. 他の事務所にも相談してみたいのですが
まったく問題ありません。むしろ、複数の事務所を比較されることをおすすめします。比較するときは、①費用の内訳が明確に示されるか、②接見にすぐ動ける体制があるか、③ご家族への進捗連絡がきちんとあるか、の3点を軸にご覧ください。弁護士の選び方の記事で詳しくまとめています。
Q5. 夜間・休日でも相談できますか?
お急ぎの場合は、事務所の電話(050-5574-2763)にお電話いただくか、LINE・お問い合わせフォームよりご連絡ください。夜間・休日のご連絡については、原則として翌営業日のご返信となりますが、身柄事件でお急ぎの場合は、フォームにその旨ご記載いただければ、可能な範囲で対応を検討します。
5. まとめ|痴漢事件は初動が命、相談の敷居は低い
痴漢事件では、逮捕から72時間のうちに弁護士が動けるかどうかで、その後の23日間が決まります。ご本人の会社や生活を守るために、ご家族ができることは「できるだけ早く弁護士に相談すること」です。
弁護士への相談は、想像されているよりもずっと敷居が低いものです。相談料は1時間5,500円、弁護士本人が直接お話を伺います。費用の話も、曖昧にせず内訳をお伝えします。他の事務所と比較していただいてかまいません。急ぐべきは動き出しであって、即決ではないからです。
レナトス法律事務所は、大宮駅西口から徒歩5分の場所にあります。刑事弁護に注力しており、不同意わいせつ・迷惑行為防止条例違反をはじめ、示談交渉や冤罪事件の対応まで、ご家族の立場に寄り添った弁護活動を心がけています。
「こんなこと相談していいのかな」とためらっていらっしゃる方こそ、まずお電話ください。ご家族の時間を、一緒に動かしていきましょう。
お問い合わせ:050-5574-2763(平日9:00〜18:00/LINE・お問い合わせフォームは24時間Web受付・応答は営業時間内)
執筆:横山遼(レナトス法律事務所 代表弁護士)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的なご事情については、必ず弁護士へご相談ください。
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